設立趣旨 

 福岡が位置する北部九州地域は豊かな自然環境の中で古くから人、物の流れが交わり、歴史と文化が育まれてきた土地です。海から山までが一体となったこれらの地域は、一年を通して生息している生きものだけでなく、繁殖や越冬のためにやってくる動物たち、また春・秋に渡りの途中で立ち寄る野鳥なども多く見られます。百万都市の市内や近隣地域に豊かな自然環境が残っていることは全国でも稀なことです。

 これらの恵まれた自然には生きものが数多く生息しているだけでなく、地域特異的な種が多く見られるという点が北部九州地域の自然環境の特徴です。また、沖積によって形作られた遠浅の海、干潟、低湿地や、それらを作った河川など、水中や水辺の環境に密接している生きものが多いというのも特徴の一つです。

 しかし、これらの水辺環境は埋め立てなどによって消失し、残されたわずかな場所も新たな埋め立てや水域の閉塞など、様々な要因によって危機に晒されており、河川やため池も護岸改修などによって生息環境の悪化が懸念されています。

 このような貴重な財産である自然環境の実態は広く一般に知られてはおらず、その保全に対する理解も進んでいないのが現状です。また、生息する野生生物の保全には、それらの生態・行動についての詳細かつ定量的なデータの収集が必要とされますが、北部九州地域の生きものについてはそれらの情報が不足しています。

 これらの現状を鑑み、私たちふくおか湿地保全研究会は、北部九州地域の恵まれた自然環境を先人から受け継いだ共有財産ととらえて広く一般に紹介するとともに、次世代に引き継ぐことを目指して野生生物の生息実態、生態、行動などの観察と研究を通してその保全に必要な詳細かつ定量的な収集を行います。収集したデータは私たち自ら、あるいは自治体などの保全事業に資するほか、活動への理解と協力を得ることを目指し、広く一般に公開・普及啓蒙を行います。

 以下に私たちの活動の方針と概要を示します。

  • 北部九州地域(=ふくおか)の自然環境・野生生物のインタープリターとして、自然環境の現状をとらえ、次世代に引き継ぐために適切な方策を考えて実行します。

  • 源流部から河口までの河川、湖沼、干潟、そして水田やため池などを含む水中や水辺の環境を”湿地”ととらえ、その保全こそが豊かな自然を残すカギと考えて”湿地”を会のキーワードに掲げます。

  • 現状を知るために観察による定量的なデータを重視し、そのデータに基づいて適切な野生生物の保全活動を行います。

  • 保全活動を行う自治体などの事業者に現状を示す定量的なデータの提供と、データに基づく適切な野生生物の保全のための助言を行います。

  • 自然環境を保全するには特定の生物種や分類群、あるいは特定の区域のみに重点をおくだけでは不十分と考え、総合的な視点での保全を目指したデータの収集と提言を行います。

  • 他の自然保護団体、大学・研究機関、調査業者などとの連携・情報交換によって、より効率的かつ総合的な視点での保全を行います。

  • 自然環境を保全し次世代に伝えるためには、自然保護団体や行政などの活動だけでは不十分と考え、社会全体、特に地元住民の理解と協力を目指します。

  • 地元住民、小・中・高等学校、地区会、企業などの方々に自然環境とその現状を知っていただき、自然環境の保全に関心を持ってもらうことを目的として、観察会、学習会、説明会などを行います。

  • ​ホームページ、SNS、機関紙などによる恒常的な情報発信の他に、自治体・マスコミへの情報提供、講演会、報告会などを適宜開催することで、広く社会一般に対しての普及啓発活動を行います。